幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





そんな感じでブルーになりつつ真っすぐ帰宅したあたしを待ち受けていたモノは、“優しい我が家”なんてモノじゃなく、さらにブルーを助長させるイベントだった。






24日、つまり今日はクリスマスイヴなわけで。





家に帰ると、藤村家恒例“アットホームクリスマスパーティー”の準備に勤しむ母親が、あたしの姿を見るなり早速指令を出してきた。





「楓には玄関前の飾り付けを命じる」





命じる…って……





鬼軍曹と化した母親は、それだけ言うとキッチンへと姿を消した。





毎年この場面に出くわす度、あたし思ってきたんだよね。





“来年こそは彼氏作ってパーティーボイコットするぞ!”って。





ハア……
いつになったら叶う願いなんだか……





まさか17年連続で出席なんてね……






渋々制服のまま、あたしはリースや電球を飾り付ける。





すると驚いたことに、父親までもがかなり早く帰ってきた。






「お〜、やってるな?
父さんも手伝うからそのまま待ってなさい。
今年はドタバタパーティーだな。
はっはっはっ…!」






父親の言動からして、例年よりずいぶん遅くなったこの作業には、どうやらあたしの受験が深く関係していたらしい。





そんな両親の優しさに気づいてしまった娘としては、ここは気合い入れてやんなきゃダメでしょ、みたいな。





それからのあたしは心を入れ換えて、飾り付け担当の父親と、料理担当の母親の間を行ったり来たりして頑張った。





「3…2…1…いいわよ、お父さん!」






おかげで夕方6時の点灯式?には、隣近所に遅ればせながらも、我が家も電飾ピカピカの華やかな装いの家へと変貌を遂げた。







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