幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





パーティーなのにかなり暗い雰囲気になりつつあった藤村家を救ったのは、突然鳴り響いたチャイム音だった。





「あっ!チキン屋さんが来たわ!
忙しいから代わりに楓、受けとって来て」





自分は一歩も動かず首だけを回した母が言う。




なぜにあたし?
アナタの方が5mは近いんですけど!?
ってか、その手にあるおタマを置いて出ればいいじゃんか!






「お金は?」



「前払いしてるから大丈夫よ。
チキンが逃げちゃう!早く行って!」





明け透けな理不尽さに憤りを感じながらも、一応冷静に尋ねたあたしに放たれた寒〜いひと言。





それに深いため息をつきつつ、昨日買ったばかりのミニスカの裾を整えてから、あたしは渋々玄関へと向かう。





「は〜い……」



ガチャ−−





「メリークリスマス♪……イヴ」




えっ、えっ、えええ〜〜!?!






決して逃げるはずのないチキンを玄関先で高々と掲げてる人物に、腰を抜かすほど驚いてしまった。






「……な、なんでおばさんが…っ…!?」



「驚いた?嬉しい〜〜!!
会いたかったわ♪楓ちゃんっ」





そう言うなりあたしの体を包み込む高価な毛皮。
……じゃないや、を着た石橋夫人。
もとい、耀太のお母さんは、チキンだけを後ろの誰かに渡して熱烈ハグをしてくれた。





「キャハハハ♪
楓驚いた?
知らないフリするの大変だったのよぉぉ」





はっ??今、なんと……?





自分の後ろから聞こえてきた甲高い声に、今度はピキっとキレたのは言うまでもなく−−−





「お母さんっ!!
いい加減娘をダマすような悪趣味、やめてくんないっ!」





毛皮から顔だけを出し、背後に立つ母親をあたしはギロリと睨み付ける。





するとその直後、今度はおばさんの後ろからなんとも窮屈そうな不満の声が上がった。





「いい加減そこどけよ……おかん…」





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