幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
おばさんを『おかん』と呼ぶ唯一の男−−−
もちろんそれは、
「あれ?耀太……仕事は?」
「ん……空港からいきなり『迎えに来い』って電話があって渋々放り投げてきた……」
まだあったのによ……と、しかめっ面で口を尖らす耀太だった。
その両手には、山のような荷物を抱えて立っている。
「つべこべ文句言わずにそれ全部リビングに運んで」
「へいへい……」
この頃はすっかり教師が板についてきた耀太も、おばさんの前だとまだまだ子供に見えるから、あら不思議。
左手に不安定にのるチキンにあたしが手を伸ばすと、眉を下げて小さく笑った。
「サンキュ。
お互い母親には苦労させられるよな……」
どうやら今回の帰国はおばさんだけらしい。
リビングのソファーへと落ち着いたおばさんは、沢山の荷物の中から大きめの箱を手に取り、満面の笑みであたしへと差し出した。
「改めて楓ちゃん…
merry christmas♪」
さすが本場仕込みのネイティブイングリッシュ。
“Thank you”と答えるべきか、“ありがとう”と答えるべきか迷ってるうちに、その箱はあたしの腕に押し付けられていた。
「あ、ありがとう……」
「楓ったらぁ、そこは“サンキュ〜”でしょう?」
「……そうですね…」
母親の胡散臭い発音のツッコミを冷たく受け流し、なんとも派手な金色の包装紙で包まれたそれを丁寧に開いていくと……
「うわぁ!ブーツ!」
中から現れたのは、ヒールの高さが7cmはあるであろう、大人っぽい黒のブーツだった。
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