幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





−−-…で!…えで!




………んん……





「……楓!」




……っ…!?!



「いったぁ……!」





名前を呼ばれると同時に、頬に小さな痛みを感じ、薄目を開けたあたしが見たもの、それは−−−





「着いたぜ」





あたしの頬をプニプニつまんで、ニコニコ笑うヒロキのどアップで。






「うわっ!ゴメン!マジ寝してた!」





慌ててだらしなくシートに倒れこんでた体を起こし、頭を下げて平謝りのあたし。






うひゃああ……
寝たフリのはずがいつの間にかマジ寝になってた〜〜






「寝るつって寝てたんだから、そんな謝るなよ。
それとも……ホントは寝たフリだったのか……?」



「そんなわけ…ないし…」




冗談めかして笑うヒロキの鋭いツッコミに内心焦りつつ、それをごまかすように、周りにキョロキョロ視線を走らせる。





するとそこに、小学校の校外学習以来久しぶりに見る少し派手めの建物を見つけて、あたしは目を見張った。






「ここって……水族館……?」



「そ…、かなりベタかもしんないけど、ここしか思い付かなくて……」



「ううん。そんなことない!
めちゃくちゃビックリした」





実はこの水族館、あたしの中ではもう一度訪れたい場所、トップ3に入っている場所なわけで。





自力で来るのにはかなり不便な場所にあるから、いつか大人になったらと諦めていた場所でもあった。





そこにこうしてすんなり来られるなんて……






「車って、すんごい便利だね……」



「はっ…?なにを今さら……」






当たり前なことに感心するあたしに、ヒロキは呆気に取られているようだけど。




あたしはこの時、自分も教習所に通うことを密かに心に決めた。






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