幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





今やピンク団の一員となってしまった自分を恨めしく思いながら、ヒロキの後をとぼとぼついて行くと、1時間足らずでスタート地点まで戻ってきた。





「どうする?
あと1時間以上待たないと、アシカショー始まんないけど……
中でメシ食って待つ?
それとも、ショーは諦めて外に食いに行く?」






出口の横にあるカップルでだだ混みのレストランを見遣りながら、ヒロキがため息混じりに尋ねてくる。





その表情は、ゆっくり外で食べたいところだけど、入館する前にあたしが言った『アシカショーは外せないよね』のひと言が、心に引っ掛かっているといった感じに見えた。





もちろん、さっきから居心地の悪さを痛感してるあたしも、それに便乗したいところだけれど。





肩に掛けたバッグから、2つのお弁当がずっしりとその存在を主張しているのを無視するわけにもいかず。






レストランの向こうに見える“喫食スペース”なるものを指差しながら、あたしは怖ず怖ずといった感じで、やけに膨らんだバッグの中身を暴露した。






「…あっちで……コレ、食べる……?」



「コレって?」



「えっとぉ……お弁当?」





なんで疑問形になってしまったのかは、自分でもよくわからない。





「マジ…!?……手作り?」



「まあ、一応……」





ただ、心底驚いてみせたヒロキが、あたしが頷くと同時に満面の笑みへと変わるのを見て、ひどく心が苦しくなってしまった。





お礼のつもりなのに、ヘンに期待させてしまってたらどうしよう……






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