幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
夜通し自分の嘘に悩まされてたあたしが作ったお弁当はかなり手抜きな代物だったのに、それでもヒロキは「美味い!天才!」を連発した。
そこまで言われると、こちらも悪い気はしないわけで。
さすがに冷食を褒められた時は苦笑いだったけど。
「なんなら、あたしの分も食べちゃっていいよ」
終いには、自分のお弁当まで勧めてしまった。
あ〜あ……なにやってんだか……
そんな自分にあたしが呆れている中、きっちり米の一粒まで完食したヒロキが、律儀に手を合わせてニカッと笑って言った。
「マジ美味かった!ごちそうさん」
「いえいえ、ヒロキにはいっぱいお世話になったからね……」
「こんな美味いもん食わせてくれるんなら、いつだって足になるぜ」
「ははっ…、予備校はもう終わっちゃったからねぇ……」
これ以上、ヒロキのお世話になるわけにはいかないと、お弁当を片付けながらあたしは言葉を濁す。
「どうせ1月からほとんど学校行かなくていいし、楓もバイトとかするんだろ?」
「ん…まあ……その予定」
「じゃあさ、ウチですりゃいいじゃん。
俺の送迎付きで」
んなっ、ムチャな……!?
「ど?悪い話じゃないだろ?」
「確かに送迎付きはありがたいけど、明日家の近くのパン屋さんに面接行くことになってるんだ……」
言いながら、あたしは心からパン屋さんへの面接申込みを済ませといて良かったと、ほっとした。
じゃないと、危うくその誘いに引き込まれそうだったから。
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