幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





アシカショーは外に併設された会場であり、晴れているとはいえかなり寒い。





あたしがワナワナ震えながら、申し訳なさげにサンタの帽子をかぶった調教師のお姉さんを見ていると、隣のヒロキが耳元に口を寄せてきた。





「寒いのか……?」






いつでもどこでもあたしのことを気にかけてくれるヒロキに感謝しつつも、あたしはさりげなく距離をとって囁き返す。






「大丈夫だよ……」






その視界の先に、男の人の胸に顔半分埋もれた感じの女の人の姿を捉えながら。





手は繋げても、さすがにアレはちょっとね……






「手、貸して?」



「えっ……?」





返事をする間もなく、あたしの左手が再びヒロキの手によって捉えられたと思ったら……





「ほら……ちょっとはあったかいだろ?」






そのままヒロキの手ごと、ダウンのポケットに押し込まれてしまった。






「………っ…」





ついにポケットの中で恋人繋ぎとなった自分の手に、“ポケットあたしのもあるから”とは言えず、顔が強張る。






ど、どうしよ……






「おっ、やっと出てきたぞ……」





ヒロキは全く気にした様子もなく、脇からステージに登場したアシカ2頭を見つけて少し興奮した声を上げた。





あたしはそんなヒロキの横顔をそっと見上げ、絶句。






その耳は、寒さからなのか、はたまた違う理由からなのか、真っ赤っかで。





それにつられるように、あたしの顔もみるみるうちに赤へと変色してしまった。






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