幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
さすがにこの後続くであろう言葉が想像ついて、そんな微妙な空気を変えたくて。
あたしは再びバッグを漁りながら、笑い混じりに早口で言った。
「それってお弁当目的!?
やだな〜、そんなに期待されちゃうと、今度からハードル上がっちゃうじゃん。
ははは…」
「違う!俺はっ…」
「もうっ、冗談だよ、冗談。
淳弥達も誘ってさ、今度は皆で行こうよ。
女の子全員で一緒にお弁当作れば…」
「ちょっと待てよ。
俺は楓しか助手席に乗せる気はないからな」
ちょうど青になった信号に、吐き捨てるようにそう呟いたヒロキは、前をにらんで少々乱暴に車を発進させた。
なんだか怖い……
瞬間、そう思ってしまった。
前の2人にはもう戻れない所まできてしまったような、怖くて胸が苦しくなるような雰囲気に、やっと掴んだケータイが、あたしの手からするりとこぼれ落ち、またバッグの奥底へと沈んでいく。
まるであたしの気持ちに比例するように……
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