幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
車内はまた気まずい沈黙に包まれてしまったけれど、幸いなことに、車はあたしの家までもう少しの場所まで来ていた。
………ハア……
このまま帰ってしまう心苦しさよりも、これ以上ヒロキと同じ空間に居ることの方がもっと辛くて、どんどん近づいてくる見慣れた景色に、あたしはひっそり安堵のため息を漏らす。
やがて大通りから左に曲がった車は、耀太のアパート前に差し掛かった。
耀太は……
まだ帰ってないのか……
なにげにあたしが耀太の車をチェックしていると、急に窓の外を流れる景色のスピードががくりと落ちて、
へっ……!?なにごと!?
まさか……わざとじゃないよね?
あたしは慌ててヒロキを振り返る。
でもヒロキは、そのまま無言でアパートの真向かいにあたる空き地の一角へと車を乗り入れ、そこでやっとこっちを向いた。
「どうしても、今日伝えたいことがあって……
帰る前に少しだけ時間くれないか?」
どうやら、ここを選んだのは偶然だったらしい。
ただ−−−
いよいよもってただならぬ気配を感じて、あたしはウンともスンとも答えられない。
小さく頷くだけで精一杯。
そんなあたしに、ついにヒロキは決定的な言葉を告げた。
「とっくに気づいてるとは思うけど……
楓が、好きなんだ……」
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