幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





その様子を頬杖ついて眺めながら、





そっか……
耀太は緊張してたからこそ、ポーカーフェイスだったんだ……






今さらながら実感した。






今や教壇上の耀太は照れ臭そうにはにかんだ笑顔を浮かべて、「ありがとな」とひとり一人にお礼を言っている。







うん。
なんかいい感じじゃない?
このクラスも耀太にも、険悪ムードは似合わないよ。






一度黒板に向かってチョークを握った耀太は、大きく自分の名前を書いた。
見やすくて、綺麗な字。
小学校6年間、書道教室に通ってただけある。





「改めて自己紹介します。
石橋 耀太です。担当は化学。見ての通り新人です。
いきなり3年生の担任よろしくって言われた時には、正直ビビりました。経験ゼロの俺なんかでいいのかなって。
皆も、不安だらけだと思う。
でも、人生の岐路に立たされた時の不安な気持ちは、理解できるつもりです。
ほんの数ヶ月前の自分がそうだったから……」






あたしはニヤニヤしながら心の中で相槌をうつ。





うんうん。
危うく就職浪人だったもんね……?






「教師としての経験値はないけど、少しだけ人生の先輩としてのアドバイスはできると思うので、気軽に相談して下さい。
内容は勉強に限らず何でもいいから」






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