幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?




そんな瑞穂は無視して貰ったプリントを鞄に放り投げていると、「楓…」とあたしを呼ぶ声がして手を止めた。





見れば、相変わらず不機嫌そうな表情のヒロキがそこに立っていた。





「なに~?」





「お前さ、へこんでないの?」





「……へっ?なんで?」





なんであたしがへこんでるって知ってんの?
まさか、あたし達の関係を知っているとか……?





いきなりの意味深発言に、動揺を隠せない。
押し込んだはずのプリントが、小刻みに震える手からぱらりと足元に落ちていった。





「あんまりだよな……?初めてあった奴に“クモ女”なんて……」





そう言いながら、腰を屈めてプリントを拾ってくれたヒロキの顔は、心配してるような、怒っているような、微妙な表情をしている。
それをお礼を言って受け取ると、あたしは気づかれないようにほっとため息をこぼした。





どうやら、秘密がバレているわけじゃないみたい。










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