幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?




ヒロキはこう見えて優しい。



こう見えてってのは失礼な言い方だけど、耀太よりもっと身長が高くて、目も吊りあがり気味で、サッカー部のせいで常に浅黒い顔は、見た目ちょっと怖い印象を与える。




実際あたしも、2年で同じクラスになるまでは、何かと目立つ存在のヒロキを、ずっと怖い人だと思っていた。


でも本当は、面倒みが良くて、優しくて、楽しくて、男気のある人。


周りまでパァと明るくしてくれるヒロキは、すぐにこのクラスでも人気者になった。


なんでもサッカー部でもムードメーカーだとか。


負けそうな試合でも一生懸命最後までボールを追いかける姿は、女子ならず男子の人気も高いらしい。


たまに一緒にカラオケに行くけど、そこでもその持ち前の明るさで、いつもよりずっと盛り上がった場にしてくれる。




ホント、自慢のクラスメートだ。






「別に気にしてないよ。心配してくれてありがと」





「でもさ、あの新任野郎、これから楓をクモ女って呼ぶかもしんねぇじゃん。
それってムカつかねぇ?」







まだ微妙な表情を浮かべるヒロキに、あたしはわざと自分の頭を触って首を振ってみせる。





「それはないよ。一応あれでも先生なんだから。
今日はたまたま緊張してたから笑っただけだって」





それに、家に帰って耀太本人に事情は話すつもりでいるし。
誤解されたまんまも悔しいしね。






「あのさ、俺………」






そこまで言いかけて、ヒロキは口をつぐんだ。
後ろから同じサッカー部の淳弥が、大声で名前を呼んでいた。







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