幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?
ぜえぜえ肩で息をするあたしを見ながら、呑気にお酒を酌み交わしている父親と耀太の姿が目について、さらに怒りが込み上げてくる。
「ちょっと耀太!言っとくけどね、ク……」
モ、と言いかけて、はたと気づいた。
この話をすれば、陽気な母親がさらにご陽気者へと変身してしまう。
なにせ娘の不幸話を手放しで喜ぶ親だから。
ここでは駄目だ。
あたしの部屋で誤解を解かなくては……
「ちょっとこっち来て……」
半ば強引にグラスを取り上げて、耀太の腕を掴んで階段へと向かう。
「なんだよ……?」
「いいから、こっち来て」
怒りで顔をカッカさせたあたしは、無言でリビングから伸びた階段をずんずん上がった。
「もうすぐしたら、ようちゃんの就職祝いをするから早く下に降りてらっしゃいね〜?」
下から聞こえるキャピキャピした母親の声は、さらにあたしの神経を逆なでしてくれた。
「すぐに降りてくるわよ!着替えるだけだし!」
そう叫んで、荒々しく開けたドアから耀太を部屋に押し込み、自分も中へと入る。
…………っと、
まさか、聞き耳立ててないよね……?
そっとドアに耳を当て、足音を確認するあたし。
ここまで娘に疑われる母親って一体……
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