幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?






「………なぁ?」







「何よ?」






しばらく耳を押し当てていたけど、どうやら盗み聞きする気はないようで、下で父親と楽しそうに会話してる母親の声にそっとドアから離れて振り向いた。






「楓、まだ一人で着替えできないのか?
部屋に来たのって、着替えるためだろ?」






……………はぁ!?!






「バッカじゃないの!?
あれは言葉のあやで、話しがあるから連れて来ただけ!終わったらさっさと出て行ってもらうわよ!」






「………な〜んだ、ビックリさせんなよ。脱がせてもらうの待ってんのかと思っただろ…」






あからさまに嘘くさいため息を吐く新米教師。






っつうか、母親もアンタも頭おかしいでしょ!?


今日の出来事は一生恨みに思ってやるんだから!


でもその前に、クモの誤解を解かなきゃ……





久しぶりに入ったなぁ、なんて呑気に部屋を眺めまわしてる耀太のそばへと体を寄せた。
万が一、ドアの向こうに母親が潜んでいようが、外に漏れ聞こえない程度に。






その距離20センチ。
身長差があるから、顔の距離はもうちょっとあるけど。





「な、なんだよ……」





近づくと、驚いた顔で体をビクッと震わせた耀太。






その反応、少しばかり、現役女子高生に対して失礼じゃない?





ムッとして見上げたあたしに気づいたのか、数回瞬きを繰り返した耀太は、「ああ、おばさん対策ね…」とドアを見つめて呟いた。






そうそう、わかればよろしい。







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