ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
今の現場監督という職業に就く前、オレはある職人になりたかった。
ただ家族の手前それを言い出すこともできず、オヤジには「とりあえず訳がわからなくてもいいから5年続けろ。」と仕事に対しての心構えとして言い渡されていた。
監督の仕事をして3年くらい経った頃だったろうか、
その職人のいる店に行った途端、声をかけられた。
「兄ちゃん、この仕事やってみないか?」
ただの憧れだったのに、そんな言葉が妙に嬉しかった。
けれどオヤジの言葉がずっと頭に刻まれていたオレにはどうすることもできなかったんだ・・・。