ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
煉瓦造りのそのお店は、イタリアの田舎の家庭という雰囲気を演出しているのだろうか、
敷地に入るとちょっとした庭があって、入り口に向かう小道がライトアップされている。
赤いチェックのクロスがかかったテーブルを挟んで、向かい合って座った。
お腹が空いていたので、パスタ2品とピザを頼み、シェアすることにした。
料理が来るまでの間、オレ達は大切なものを包み込むように互いの手をそっと握り合った。
言葉に出来ない想いをその指先に込めて、何度も絡めあった。
時々視線をあわせると、照れたように笑うクミちゃんが居て、オレの心はその手の温もり以上に暖かくなったんだ。