ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
それはオレの気持ちと同じだった。
でも交錯する想いの中で二人とも「好き」という言葉は言えずにいた。
それを口にしたらもう後戻りが出来ないようなそんな気分だった。
「オレ・・・、上手く言えへんけど、でもクミちゃんと気持ちは一緒や。こっちにいる間だけ恋人でいような。セックスはできへんけど、いっぱいキスしような・・・。」
そういったオレの目には、瞳に涙をいっぱい溜めたままのクミちゃんが映っていた。
「アキラ・・・ありがと。」
俯き加減だったクミちゃんは、その涙を拭うと顔をあげた。
そこにはパァッと花が咲いたような笑顔が溢れていた。
そう・・・。
オレが求めていたのは彼女の笑顔だった。
ずっとずっとこの笑顔を見ていたいし、この笑顔を絶やさないように見守っていきたいと願っていた。
いや、オレが彼女を笑顔にさせるし、その笑顔丸ごと彼女を守りたい・・・そう思っていた。