ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
「クミちゃん。今仕事終わったよ」
「お疲れ様~」
「メール読んだよ。デートの予定満載やなぁ」
「つい欲張っちゃった。けどアキラとやったら何でも楽しめると思うわ」
そんなことを言ってくれることが可愛くてしょうがなくて、オレも調子に乗ってしまう。
「楽しみやな。オレ場所がわからんから、デートの計画はクミちゃんに任すわ」
「うん。じゃあ今夜は?少しでいいから会いたいよぉ」
「強引やなぁ・・・オレ金ないで」
困ってる風なことを言ってはみるものの、オレも会いたくてしかたなかった。
けどその気持ちを素直に口に出すのはどこか後ろめたく、オレにはできないことだった。
だから、強引なまでにそう言ってくれる彼女はイヤじゃなかった。寧ろ救われていた。