ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
覚えた道を進み、慣れたようにクミちゃんを拾う。
「お疲れ様。ケータイどうなっちゃったの?」
って笑ってオレを見つめる彼女をみて、これから嫁の元に帰ろうとしているオレのくせに、ドキドキときめいたりしているんだから不思議だ。
携帯はショップに持っていくと、中のICチップに不具合があるだけだったらしくすぐに交換してくれて普通に使えるようになった。
手続きをしている間、店のお姉さんをみていると、隣からため息が聞こえてくる。
「お姉さん、かわいいなぁ」
なんてワザと言ってみると、頬を膨らませて拗ねているクミちゃんがいて、またオレは「愛されてる」って実感できて心が和んだ。
その後は、ほんの束の間のドライブ。
あんまり長くはダメだけど・・・って伝えた上で、海の近く、橋の袂まで車を走らせた。