ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
だけどその強い日差しはほんのわずかしかない私たちの時間を一瞬にして焦す。
「帰らなきゃ」
アキラがそう言って私をみる。
「ホントに暑いなぁ」
笑ってるアキラがそこに居たから、私も不安は心の奥底にしまいこんでとびきりの笑顔をみせてから、アキラの車に乗り込み、家まで送ってもらった。
走り去る車を見るとやっぱり不安を消すことはできなくて、ため息が漏れる。
そんな私にアキラは高速に乗ってすぐにまた電話をしてくれた。
それは眠気覚ましに・・って電話だったんだけど、奥さんじゃなく私に電話をくれたことが嬉しかった。
でも・・・離れていく距離。
不器用なアキラだから、奥さんにバレるんじゃないか・・・って・・・。
バレると続けられない関係だから、何度も確かめあった気持ちに嘘はないとわかっていたけれど、言葉にしていない分、怖くてただただ祈るしかなかったんだ。
「どうかバレないで」って・・・。