ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
~~~アキラside~~~
「クミちゃん?」
「何?」
「スカート似合ってるで。」
乱れた服を直している彼女に、そんな言葉をかけながら、タバコに火をつける。
「ホント?」
「うん。かわいいやん。」
「ありがと。何も言うてくれんから、似合ってないんやと思ってた。」
そう言って微笑んだ彼女が、
「あ、この曲・・・。」
と声をあげた。
オーディオから先日のあの曲が流れていた。
彼女の過去の恋を慰めようとして、教えた曲だった。
彼女がぽつりと言った。
「この曲、あれから何度も聞いたんよ。でもな、アキラが言うように『後ろ向き』って気が私にはせんのよ。」
オレは黙って彼女の言葉を待った。