ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
そんなタイミングで曲が終わって、少しの間、沈黙が流れた。
次の曲が始まったのだけれど、
「もう一回聴こか。」
とアキラがボタンを押した。
繰り返されるイントロ。
『後ろ向きじゃない』
そう言ったけれど、切ない曲であることには変わりはなかった。
車内に流れる音に耳を傾けつつ、私はそっと目を閉じた。
この曲を聞けば聞くほど、これから間違いなく私達に訪れる別れのことを考えずにはいられなかった。
きっと私はこの先・・・
この曲を聴くたびに、アキラのことを想い出すんだろうな・・・。
目を閉じているというのに、隣にいるアキラの顔が、私の瞼に強く浮かんで消えることはなかったんだ。