ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
~~~クミside~~~
ぼんやりとタバコを吸っていた私の肩を突然叩く。
『アキラはきっと来てくれる』
と思っていたものの、宿に帰ってから来るだろうと決めつけていた私は、
夕方早くに現れた作業着のアキラの姿に酷く驚いてしまった。
動揺していることを悟られるのがなんだか恥ずかしくて、
「早かったねぇ」
ってかわいくないセリフを吐いてしまう。
だけど胸の鼓動も赤らんだ頬も、私の気持ちを代弁するのに十分な反応を示していた。
「出直してくる。」
という言葉を聴いた私は、アキラが遠ざかるのを背中で感じつつ、赤らんだ頬を手で挟んでその火照りを抑えることに必死になっていた。