ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
~~~クミside~~~
「あっ・・・。」
首筋に冷たいものが当たった。
「雨だ・・・。」
と私たちは、車に戻ることにした。
助手席に座ると、それまでの生温かい潮風も磯の香りも波の音も、すべてが遮断されて、また違う空気が流れていた。
闇に浮かぶオーディオの青白い光に、降り始めた雨が、私の中の寂しさを煽る。
「今週末、大阪帰らんでおることってできんよね・・・。」