ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
オレは何も言うことができなくて、そのせいで沈黙が流れた。
・・・
そんな空気を断ち切るかのように、クミちゃんがわざと明るい声で言葉を続けてくれた。
「なんか、すごいよね。
アキラが教えてくれたこの曲が、私たちの想い出の曲になってるじゃない?
それで、その曲の中のキーワードっていうか、それが、『別離の悲しみ』だなんて・・・。
うまく出来てるよねぇ。」
それはなんだかオレ達の近い未来の象徴のようだった。
そのことをお互い分かってしまっていたからこそ、なかなかうまく次の言葉を紡ぐことが出来ないでいて、沈黙が重く重く流れてしまった。
「ホテル、行く?」