ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
~~~アキラside~~~
「ホテル、行く?」
そう誘われてオレは酷く狼狽した。
だけど、その言葉に続く彼女の気持ちを聴いて、心の底からじんわりと温かいものが溢れてきた。
車を止めたオレは彼女を抱きしめながら言った。
「ありがとう。
オレ、クミちゃんのことちゃんと大切に思ってる。
だけど、やっぱ『誰かが傷ついた上での幸せ』ってないと思うんよな・・・。
だから、オレのわがままかもしれへんけど、最後まではできん・・・。」
その時のオレ達は、オレの嫁を傷つけてはいけないと、おこがましくもそんなことを考えていたんだと思う。
だけど、オレはいつかきっと彼女のことを傷つけてしまうんじゃないかと・・・。
そんな気持ちがよぎったことに、気がついていたんだ。