ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
~~~アキラside~~~
車に乗ったオレは、急に無口になってしまったかもしれない。
「岩盤浴に行ってたんだぁ。」
というクミちゃんから、ふんわりとシャンプーのいい香りがしてきたからだ。
「どこに行くの?」
そう尋ねる彼女に、無言で答えたオレは、工場地帯の中を少し走って、路肩に停車させた。
月は雲に隠れていたけれど、街燈のオレンジの灯りがオレ達を照らす。
二人だけの車内。
そこは誰にも邪魔されない、オレ達の世界が広がっていた。