ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~
ただ、そんな俺なのに、
彼女はいつも笑って話しかけてくれた。
不規則な生活のせいで寝不足気味な俺に、
「疲れた目してますね。大丈夫ですか?」
なんて言葉をくれるもんだから、
内心嬉しかった。
自分の気持ちはまだよくわからなかったけれど、
彼女に対して何か特別な感情があるとは思った。
「食事行きましょうよ。」って言葉に
「奢ってくれるの?」
なんて
男らしくないことを言ってしまう俺なんだけど
「いいですよ。
最近パチンコ勝ってるんで。」
って言ってくれたので
職人達の休憩時間、
所長の説明を
相変わらずぼんやりと聞き流しながら、
メモ用紙の端に携帯番号を殴り書きして、
彼女に渡した。