ひと夏の恋~満月の夜から始まった28日間の奇蹟~



それからかな・・・

少しずつ
オレと彼女の間で会話が増えていった。


オレ達の何気ない会話にも
耳を傾けてくれているみたいで、


所長が
「ホワイトボード、
こんなに汚かったっけ?
上手く書けへんねん」

って言ってた翌日、


彼女の手によって拭きあげられて
ピカピカになってたこともあった。



タバコを吸うオレは、
今までは帰宅時に灰皿のゴミを
まとめて片付けてたんやけど、

気が付けば現場から戻ってくると、
きれいに磨かれて水が張られた状態に
なってた。



それが彼女の仕事やから
当たり前のことなんだけど、


締め切りに追われ、
ピリピリとした空気が漂い始めていた
現場において、



一服の清涼剤になってたんだ。





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