恋の相手は俺様王子!?
むしゃくしゃしたせいなのか、動き回ったせいなのか……
―――グゥ……
お腹の虫さんが騒ぎ始めた。
だって、さっきから美味しそうな香りがリビングを覆って、小さな鼻の興味を誘うんだもん。
チラリとテレビのニュース番組から視線を逸らし、キッチンを見てみる。
買ったばかりのお皿に料理を盛り付けているようで、その顔は真剣そのもの。
なんか、変な感じ。
ワイルド系な彼が、身を屈めながら細かい作業に熱中しているなんて。
この匂いからして、きっとハンバーグ。
私の大好物まで、ちゃんと把握しているらしいとこが憎い。
―――カタン
フライパンを置いた音がして、どうやら出来上がったみたい。
パチッと目が合って、何故かじっと見つめ返されている。
ん(?)と、首を傾げた時だった。
「んな物欲しげな面しなくても、食わせてやっから」
も、もも物欲しげって……
「そんな顔してないっ!」
「身乗り出して、涎まで垂らした奴から言われても説得力ねぇな」
「なっ!?」
そう言われて真っ先に涎を確認したが、涎なんて垂らしてないじゃない!
なんて、失礼な人。
.