恋の相手は俺様王子!?

その時、勝手口のドアが開き「どちら様ですか?」と、見知らぬおばあちゃんに怪しまれたあたし。


「えっ? いや、怪しい者じゃあっ……」


慌ててみると、余計怪しまれた。

そりゃあそうだよね。

知らない女が、家の前で表札見上げて唸ってたら誰だって怪しむよね。


「……ごめんなさい。 あたし、あの…相馬さんの…」


此処は正直に事情を説明しようと思った時、最後まで言う前におばあちゃんの表情が変わった。


「もしかして、何も出来ない箱入り娘の由梨さんかしら!?」

「………はい?」


確かに、あたしの名前は由梨ですが。

その前に気になる言葉がチラホラと。


口元を引き吊らせているあたしの手を、おばあちゃんはガシッと掴んでくる。


「まぁまぁまぁ! 可愛らしい方ね。 どうぞ良かったら入って行ってちょうだいな?」

「ええっ? あのっ……」


困惑するあたしを知らずに、おばあちゃんの力に引っ張っられていく体。


って、これって結構ヤバくないですか―――っ?


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