恋の相手は俺様王子!?
「璃兎さんにはね、あたしの孫娘が本当に迷惑をかけたのよ」
「お孫さんですか?」
頷くと、おばあちゃんは戸棚から一冊のアルバムを出してきた。
ペラペラと捲って、目に留まった一枚の写真。
綺麗な女性と奴、そして二人の間でスヤスヤと眠りについた赤ちゃんの写真。
「この子が孫で、この子が二人の子供。 これは五年前の写真なんだけどね、これが三人が映った最後の写真なのよ」
「え、最後ですか?」
どういうことなのかと、あたしは写真とおばあちゃんを交互に見た。
聞くつもりはなかったのに、次第に知りたい気持ちが強くなっていく。
お孫さんの名前は、小夜さん。
奴と同じ年で、出会いは二人が通っていた大学。
「小夜はね、複雑な家庭で育ったせいか我が儘でね。 あの子の母親が父親と結婚する時、主人が反対してね、それを押し切って嫁いだのよ」
お相手は大企業の息子だったけど、その会社に当時のおばあちゃんの旦那さまの会社は乗っ取られた。
そうなる経路は語らなかったけど、色々と複雑な環境の中二人は恋に落ち、娘さんはこの家を飛び出したらしい。
結婚してからは、娘さんと旦那さんは会うことはなかったんだって。
「主人は頑固でね、亡くなる間際になってようやく孫娘にだけは会ってくれたのよ」
けれど、最後まで父と娘は会うことはなかった。
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