恋の相手は俺様王子!?
クビ?
「なんで?」
あっさり聞き返したことに驚いた様子の彼は、眉間に皺を寄せていた。
暫く考える素振りをしてから、口を開き。
「なんで?って。 だいたい住み込み希望の客は、ガキがいるのを嫌がるだろ」
「だから、なんで?」
「……急な用事で、仕事に穴を空けんじゃねぇか…とか」
だから、バレた以上クビを覚悟し、だから帰ってきたんだと彼は言う。
でもあたしは、クビなんて一切考えていないことを伝えた。
「子供がいるからクビとかないわよ。 あたしは、ずっとあんたがいなきゃいけないなんて思ってないし」
仕事に穴なんて、彼に限ってないと思う。
ていか、たまには穴を空けたっていいじゃないってすら思う。
それがどうしようもない理由なら、あたしがとやかく言うことじゃないもん。
「それより言ってくれれば良かったって思うよ。 ずっと住み込みだったんだもん、それって、ずっと離れて暮らしてるってことじゃん」
ふと思ったんだよね。
彼が仕事をしている間、陸君はずっとパパのいない生活をしてるんだって。
それって、寂しいはずだよねって。
「陸君…、今日凄く嬉しそうだった。 本当は、あんたと暮らしたいんじゃないの?」
だから思う。 本当は、彼がこの仕事をおりたいんじゃないかって。
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