恋の相手は俺様王子!?
* ようこそプリンス
彼の秘密を知った日から数日後、あたし達の関係には多少の変化があった。
一番の変化と言えば……
「由梨ちゃん! こんにちわ!」
「うん! 陸君、こんにちわ!」
彼の息子の陸君が、あたしの家に遊びに来るようになったのが一番の変化だ。
そうなる経路には、あの後の会話にあって。
『そうだ! 陸君、呼んでいいよ! あたし、子供好きだし!』
『は? なに言って……』
最初は躊躇った彼。
一応此処は彼にとっては職場になるから、遠慮もあったんだろうけど。
「由梨ちゃ〜ん、昨日ねお絵かきしたんだよぉ!」
「そうなんだ! 何を描いたの?」
あたしとしては、やっぱりパパとずっと離れ離れなのは陸君が可哀想で、彼にも陸君との時間を大切にしてほしいと思って説得した。
「んとねぇ、はい!」
陸君が初めて家に来た時は、彼の足にしがみついて、恐る恐るといった感じで部屋に入ってきた。
だけど、彼が背中を押すと、ちょっと躊躇いながら上目遣いで「は、はじめまして」って笑ってくれた。
照れ笑いを見せる陸君と、あの時の陸君の笑顔が重なって、胸がキュンとなる。
「今日、此処に来るのが決まった途端、急に描くってきかなくてな」
「……これ、あたし?」
「うん!」
陸君用に買っておいたオレンジジュース。
コップを両手で持って、キッチンからやってくる彼のもとへ走って行った。
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