恋の相手は俺様王子!?

「こんなに笑ってんの、久しぶりに見た。 お前に感謝するべきだな」


もう一つ変わったこと。

それは、彼のあたしに対する態度。


「え? いや、いいよ……。 あたし何もしてないしっ」


振り返った彼の笑顔に、恥ずかしくなって顔を逸らす。


彼が来た当初は、冷たい態度で、よくバカにされていたのが嘘のよう。


「いや感謝してるよ。 ありがとう」

「……う、うん」


改まって言われると、かなり恥ずかしいよね。

本当に何もしてないのにさ。



「あたしも、ありがとう…」

「何がだ?」


立ち上がり、陸君が使っていたコップやケーキが乗せられていたお皿を片付ける彼に問われる。


あたしは、陸君が寝ているソファーを背もたれにして床に座った。


「あたしも分かったからさ。 親子って近すぎて鬱陶しいこともあるけど、それでもそれは有り難いことなんだって」


一緒にいたくてもいられない親子だっている中で、あたしは贅沢な悩みだったんだって。


「早く親から離れたかったけど、今は会いたいなぁ…って思うよ」


「なら、たまには帰ってやるといい」


「うん。 そうする」


多分今なら、素直に両親のお節介を受けられると思う。

やっぱり多少はウザイんだろうけどね。

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