恋の相手は俺様王子!?
「んで、一人前になるのは諦めんのか?」
突然言われて、何が(?)と頭に浮かぶ。
「両親を見返すんだって、意気込んでたじゃねぇか。 それが最近、サボり気味だな」
そう言えば、そんなこと焦ってた。
お節介で心配性な両親に、あたしはもう一人で生きていけるんだからって、家事も学業もバイトも完璧にって。
それで、家事全般は彼に教わってた。
「う〜ん、今は焦らなくていいかなって」
「ほお。 えらい変わりようだな。 んなことじゃあ、まだまだ俺を追い出せないと思うが」
洗い物を終え戻って来た彼。
寝返りをうって落ちた膝掛けをかけ直す。
「……追い出す気…ないもん」
「あ?」
あたしにも変化があった。
念願の一人暮らしだったのに、突然見知らぬ男と二人暮らしになって。
家政婦だとか言って、あたしが頼んだわけでもないのに世話をやく男。
早く追い出すために、彼から技を盗み一人前と認めさせようと思ってた。
だけど、もし彼にも両親にも認められてしまうと、あたしは一人暮らしになるかもしれない。
「こんな理解ある雇い主いなくなったら、あんたが困るでしょうが」
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