恋の相手は俺様王子!?
ヤバい! 今の言い方って、あたしが好意を持ってることが明かな言い方だ。
「……その気持ちは勘違いだ。 俺らは、仕事以外の関係はない。 わかったか?」
バレてしまった。
あたしの気持ち、彼に知られたのに、その瞬間否定された。
ふるふると弱く首を左右に振るうあたしから手を引く。
「それが無理なら、俺はもう此処にはいられねぇよ」
「やだっ! なんで? せっかく、陸君とだって……」
「陸は関係ねぇだろ」
陸君とだって仲良くなれて、これからもっと彼を知って、あたしのことも知ってほしいのに。
一気に全てを否定された。
そんなのってないよ……。
「やだよ…。 仕事なんて、関係ないじゃん……」
その言葉は、きっとタブーだったんだろう。
彼はすくっと立ち上がり、寝ている陸君を抱き上げると、荷物も持ち上げていた。
「え……。 何処行くのよっ?」
「俺にとってこの仕事は、陸と二人で暮らすための要だ。 それを、仕事なんかなんて言ってほしくねぇな」
「ま、待ってよ!!」
玄関に向かう彼の背中を追いかける。
.