恋の相手は俺様王子!?
* ふたりのプリンス
***
このまま終わらせる気なんてさらさらないあたしは、とある場所に向かっていた。
「確かこの辺りだったよね」
一度だけ来たことがある、彼の会社ドリームパラダイス。
この角を曲がると………
「あった! 此処よ、此処!」
あたしが此処へ来た理由、それは彼を連れ戻すため。
彼に近づけたと思った矢先に、呆気なく突き放された。
だけど、簡単に諦めようなんて思わない。
一人前になりたくて、一人で何も知らない場所にやって来たくらい、それなりに覚悟と根性は持ち合わせているんだから。
諦められる恋なら、きっと最初から気にもならなかったはず。
意を決して、中に足を踏み込もうとした時だった。
「どちらさんですか?」
「へ? うわぁ……」
後ろから声をかけられて振り向くと、思わず声を漏らしてしまう。
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