恋の相手は俺様王子!?

可笑しなメンバーだ。

マネージャーさんに、元先輩さんにあたし。

あたしはただ、彼に会いに来ただけなんだけど、何だか偉い人が出てきてドキドキする。


「それで、この度は……」

「あ、はい! あの、相馬さんに会わせて下さい!」


ようやく本題に入れて、あたしは小波さんに飛び付く勢いで迫った。


その気迫に目を見開く小波さんの隣では、クククと笑いを堪えている安藤さん。


てか、あなた関係ないんじゃ……。


「あー…申し訳ありませんが、彼は今休暇をとっていましてね。 一週間は会社に顔は出さないと思います」


一週間も休暇?

一週間も会えないの?


「そんな〜……」


力んでいた体から、一気に力が抜けてソファーに身を投げた。

「そんなに彼が気に入りましたか?」

「え……」


気に入りましたか。
なんて、そんな直球で聞かれたら何て言えばいいのか困る。


躊躇っていると、安藤さんが口を開いた。


「若いってええね。 喧嘩ひとつにも熱くなれる」

「若いって、僕からすれば君も若いですがね」

「雪ちゃん、三十路やもんな」

「ええっ!?」


大きな声に、二人の視線があたしに集中した。


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