恋の相手は俺様王子!?
* 全てを含めて好き
見つめ合うこと数秒。
予想外にも、彼はあたしを見つめ返してきた。
絶対逸らすと思っていたのに、こう見つめられてしまうと恥ずかしいじゃない!
「……ふぅ。 あのさ、あたしあんたのこと気になるんだよね」
「……気のせいだな」
「そうかとも思った」
否定しなかったのが意外に思えたのか、彼は僅かに目を見開いた。
「あたしも気のせいかもって。 ううん、気のせいにしなきゃいけないって思った。
最初の印象なんて最悪だったし、偉そうだし何を考えているか分かんないあんたなんて、誰が好きになるもんかって」
「散々な言われようだな」
クスッと、あたしの笑みがこぼれた。
近くでオロオロと様子を窺っていた陸君が、不安そうにあたしのスカートの裾を握った。
大丈夫だよ。と、頭を撫でてあげる。
「あたしだって、散々言われたじゃん。 バカとか鈍臭いとか、自分勝手とか」
「そのまんまだからな」
「そっくりそのまま返すよ」
「っ…お前な。 はあ…あれだけ面倒みてやったのにな」
その言葉に、コクンと頷いた。
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