ママ、ありがとう。そして、ごめんなさい
フランクフルトの生活は楽しかった。
出来たばかりの日本人学校。
生徒の数も少ない。
1学年1クラス。しかも20人程。
双子が同じクラスというのも、なかなか無い体験だ。

今考えたら、ありえない話だが、ドイツにいた6年間。
バスや電車の行き先や時刻表を見た記憶がない。
この時間の電車に乗って、歩いて行ってバス停に着いて、少し待って来たヤツに乗ればいい。
とてつもなくアバウトな生き方だ。
小学1年のある日、私はいつもより乗り換えをゆっくり歩いてた。
バス停に着いたらバスは発車した所で、1番後ろの大きな窓から弟が心配そうに見ていた。
1人で生きやがってと思ったが、気にすることなく次のバスに乗った。
行き先は全く違った。
私は迷子になった。

自分でも凄いガキだなと思うが、私は慌てなかった。
近くを歩いてる女の人を捕まえて、学生証を出して学校の住所を指差して、英語でいうと「wher」に当たるドイツ語を言った。
早い話がどこ?としか聞いてないのだ。
もちろん説明されたってわからない。
ひたすら、その単語の連呼。
その女の人は私をバス停の前の八百屋に連れてった。
八百屋の親父との会話は理解できなかったが、私が迷子だけど自分は仕事だから後よろしく的な感じだった。
まぁそーゆー人達のおかげで無事学校に着いた。
人間なんとかなるもんだ




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