ママ、ありがとう。そして、ごめんなさい
私は中学は帰国子女の編入試験で私立を受験する気でいた。
弟は普通に私立を受験した。
合格した弟は3月に帰国した。
そして 父と2人の生活がスタートした。

日本人学校の中学は、友達も出来たし楽しかった。
ただ家は無性に淋しかった。
学校から帰って来たら、ただいまの言葉に返答のない薄暗い部屋。
その中で金魚の水槽だけが音をたてている。
今までが家族4人で楽しく暮らしていたため、急激な変化に心が付いていけなかった。

夜中に水が飲みたくて、キッチンに行った。
するとリビングでうなだれてる父が見えた。
声を掛けられず、すぐに部屋に戻ってベッドで泣いた。
父まで居なくなったら、異国の地で私はどうすればいいのか。
怖くて怖くて堪らなかった。
父にはワガママを言ってはいけない。
そう思った。

7月に日本に本気国が決った。
父がオランダの本社に行って、掛け合ったらしい。
嬉しかった。
また家族4人で暮らせると思った。
孤独から解放される。
期待で胸が一杯だった。
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