オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
相手の耳は近いはずだから、これで聞こえるはず。


それは確かにそうだったんだけど、あたしは自分の考えが甘かったコトをすぐに知らされた。


「ん〜〜大丈夫ってぇ?僕にはそう見えないよ〜〜」


それは、大学生くらいの男の声だった。


相手の声が聞こえ男だと理解した途端、あたしは反射的に悲鳴を上げようとしたけれど。


その口は男の手に塞がれ、悲鳴は殺されて指の間から微かな音となってしか洩れなかった。


「そうそう、キレイなお肌に傷がついちゃってるよ〜〜」


違う方向から野太い違う男の声がして、あたしの背筋はぞわっとした冷たさが駆け抜けた。




あたしは男が大嫌いだった。




過去の忌まわしい記憶のせいで。




ケンが居てくれたから、男性恐怖症がやっと軽くなってきたところだったのに。


あたしは男に体を触られたせいで、そのまま意識が暗闇に沈んでいった。
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