オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
事務所は6畳くらいの広さだから、真ん中にある無意味な応接間の定番ソファーセットがかなり空間を占領している。

その家具や人の「影」と「陰」が、再びもやもやとしたように見えてきた。


あたしは目を瞑ると、あれは現実じゃない、きっと幻覚なんだと自分に言い聞かせた。


強い思い込みで自己催眠にでもかかってるか、疲れてるから幻覚を見るか、目のせいなんだって。


そう、大丈夫。


あたしは大丈夫。


大きく深呼吸をして、


いち、


にい、


さん!


パッと目を開けたら、もうあのもやもやが見えなくなってて、あたしはホッと息を着いた。


やっぱり、気のせいだった。


って!


何を安堵してんのよ、あたし!


まだコイツらに拉致られたままじゃん!


事務所の壁の掛け時計を見ると、いつの間にか10時を過ぎてた。


流石にこれだけ遅いと、加奈子先生も不審に思うだろうな。


っていうか、誰か警察に通報してくれてないと、あたしマジピンチなんですけど!?
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