【続】『愛してる』なんて言わないで
「俺と、結婚してください」
「えっ…な、に、言ってんの?」
「俺と結婚してください」
康太はそう言って、ポケットから四角い小さな箱を取り出した。
「高いものではないけど、受けとって欲しい」
何言ってんの?
あたしにはもうあなたへの恋心は消したの。
あたしはこの子を産んで1人で育てていく。
父親の居ない子供にはしたくなかったけど、こればっかりは仕方ない。
そう、覚悟決めてたのに…
「どうして、そうやってあたしの心を掻き乱すの?
どうして今更になって、結婚してなんて言うの」
あたしの目からは涙が止まらなかった。
一度聞いた言葉はあたしの心にずっしりと届いた。
「その言葉だけで、もう十分だよ?
無理…しなくても良いよ?
あたしよりずっといい人いる……
だから、あたしは1人で生きていけるから…
もう帰って……?」