彼と私の言えない秘密
私は和真を見ずに、土手を上り、細い道を家の方向に歩いていった


「愛羅…」


後ろから聞こえる和真の声を無視して歩く


「愛羅!!」


和真が声を荒げて私の前をチャリで塞いだ


「そこ…どいて…」


「どかねえ!」


「バスで帰るから、門限間に合うし、大丈夫だよ」


それでも和真は私の前を動こうとしない


チャリごと蹴ったら…通れる


フッ…そんなこと出来ないよ


「愛羅…疑ってんのか?もう…俺のこと嫌いか?」


静かに話す和真の声が耳の奥で震えた





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