アライブ


『俺は人の命を救うために医大に入ったのに…今の俺には何もできない…何も…』


修二は拳を握りしめ顔を俯けた。


『ん…』


地面で眠る公太がそっと目を開けた。


『こ、公太!!』


橘怜子は公太に声をかけた。


『公太、大丈夫か?』


橘怜子の声に反応して修二が公太に駆け寄った。


『ハァ…ハァ…俺…まだ生きていたんだ…』


公太は洞穴の天井を見つめながら寂しそうな表情を見せた。


『神様もいじわるだな…殺すんだったら、さっさと殺して欲しいのに…ハァ、ハァ』


その公太の言葉に橘怜子は耐えられず溢れんばかりの涙を流した。



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