アライブ
青年は裕太にお守りを手渡した。
『何これ?』
裕太はお守りを手に首を傾げた。
『パパとどんなに遠くに離れていても、そのお守りがパパの変わりにきっと裕太くんを守ってくれるよ』
青年がそう言うと、裕太はお守りを握りしめて喜んだ。
『じゃあ、俺はもう行くね。そろそろ裕太くんのママが迎えに来る頃だから…』
青年はそう言って、ベンチから立ち上がった。
『お兄さん、お兄さんの名前は?』
裕太は立ち去ろうとする青年に尋ねた。
『俺?俺は…キリ…』
青年が名前を告げようとした瞬間…その青年の声をかき消すように、裕太の母親が裕太の名前を叫ぶ声が聞こえた。