アライブ
『これは…』
受付のナースは青年から貯金通帳を受け取り、首を傾げた。
『ちょっとしか入ってないけど、これで母が望むものを買ってあげて下さい。お願いします』
青年はそう告げて、出口のドアを開け足を外へ踏み出した。
そんな青年を眩しい太陽が照らした。
『あ、ちょっと待って下さい!!これであなたが…あなたが相沢涼子さんに買ってあげてくだ…さ…』
受付のナースがそう言いながら青年を見ると、青年に太陽の光が反射し、受付のナースは眩しくて目を閉じた。
数秒後、受付のナースが目を開けると青年の姿はなかった。
『行っちゃった…』
受付のナースは貯金通帳を手に、出口でしばらく立ち尽くしていたのだった。