アライブ
女子高生はそんな青年の目を見つめた。
『物語にはさ…楽しい場面や面白い場面ばかりじゃない…つまんない場面や悲しい場面だってあるんだ。まだページをめくり始めたばかりの物語を、途中で投げ捨てないで。人にはその人だけにしか描けない物語があって…その中にはその人だけの笑いがあったり、涙があるんだ。誰でもない自分だけの物語なんだから大切にしてほしい』
青年がそう告げると、女子高生の目からは大粒の涙が溢れ出した。
『物語…あたしだけの物語…』
女子高生は涙を流しながらうわごとのように呟いた。
青年はそんな涙する女子高生の手を、優しく手に取った。